3月27日(火)

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 2011年3月11日に起きた東日本大震災で、仙台市は沿岸部を中心に大きな被害を受けました。震災の影響で、夏に予定されていた「いっちゃね!仙台弁の日」は中止に。また主催で語り手の渡辺裕子さんも、家屋が倒壊した実家のご両親を呼び寄せ共に暮らし始めるなど、公私共に震災の影響を大きく受けました。

 震災から1年が過ぎようとする頃、日々の生活にようやく慣れ始めた裕子さんは、震災の被害にあった方々にお会いし、仙台弁で語り合うひとときを通して心の支援ができないかと考え始めました。その考えを行動に移したのが、仙台市内のプレハブ仮設住宅への訪問でした。

 訪問の第1回となったのは、仙台市若林区にある七郷中央公園仮設住宅。敷地内には約60世帯が整備されており、主に農業と漁業が盛んな若林区荒浜地区の方が暮らしています。

 当日、仮設住宅の集会所と訪れるとすでに30名ほどの方々が集まっていました。裕子さんが現れると皆さん大きな拍手で迎えます。裕子さんは、今回の震災で自分が体験したことを中心に自己紹介を始め、次に「いっちゃね!仙台弁の日 なんだりかんだり作品集」に収められた川柳を詠み始めました。

暗どこで 羽織着たれば けぁちゃまぐれ

さそぐんで さざほざどして 潮干狩

ほでなすも まつぽい服で 風を切り

 さすが仙台弁をネイティブで話すこの日の観衆の方々、川柳が詠まれる度にその意味を理解して、笑いの渦が起こります。

 次に「女性の方々、自分がお嫁に行った日のことを覚えていますか?」と声をかけて、娘の時の思い出を文章にしたためた『嫁ぐ日の朝早ぐに』を朗読。続いて70を過ぎた方が初恋の方へ向けて書いた手紙『アンダは今どこにイッペネ』を朗読した後には、話を聞いていた男性が「オレも初恋の人さ会いでぇな」と周囲の笑いを誘っていました。

 初回の訪問は約1時間の予定を大きく超えて、皆さん楽しい時間を過ごしました。裕子さんは今後もさまざまな仮設住宅を訪問する予定です。

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3月30日(金)

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 裕子さんの仮設住宅訪問2回目は宮城野区の鶴巻1丁目公園仮設住宅。ここは、主に仙台市宮城野区蒲生の西原地区の方が多くお住まいです。そこに、七北田川を挟んでお隣の高砂1丁目公園仮設住宅の人達も観衆として合流しました。人数は20人ちょっとで、2人の小学生姉妹もいました。裕子さんの話す方言は小さな姉妹には完全に伝わりませんが、ニュアンスは伝わったようです。絶やしてはいけない文化ですね。

 この日裕子さんがひとり芝居した題目は「若返りの水」。矢本(宮城県東松島市)あたりに伝わる昔話のようです。お爺さんが山の湧き水を飲んで若返ったのを見て、お婆さんも急いで山へ行き、水を口にします。しかし、飲みすぎて赤子になってしまうという話です。欲たかりではいけないという内容をコミカルに演じていました。その演技にあちこちから笑い声が聞かれました。

 締めは恋文の読み聞かせ。これも仙台弁の冊子から。涙がこぼれる内容で、皆さんも急にしんみりしたようです。仙台弁で読まれることで、より一層胸に染み入ったんですね。

 では、おみょうにぢ!

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4月3日(火)

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 仮設住宅訪問3回目となったこの日は、仙台市若林区の荒井7号仮設住宅を訪問しました。これまで訪問した場所とは異なり、世帯数15という比較的小さな仮設住宅です。小さい分だけご近所づきあいが密になるようで、お住まいの皆さんは集会所にひんぱんに集まって、お茶飲み会を楽しまれているようです。

 今回の訪問は、そんな定期的に集まっているお茶飲み会に参加する形での開催となりました。お茶飲み会には、皆さんそれぞれにお茶請けを用意して集まります。この日は、参加者の1人が育てたという小松菜のおひたしや、干し大根の煮物、白菜のお漬物などがズラリとテーブルの上に並びました。そのどれもがおいしいこと! 主婦歴ウン十年?の熟練の技が光る逸品です。

 そんなおいしいお茶請けを囲みながら、和気あいあいとしたなかで裕子さんの仙台弁なんだりかんだり語りがスタート。川柳を皆で声を出して読んだり、感想を言い合ったりして楽しみます。また、作品集の朗読ではかなり難易度の高い仙台弁も飛び出したことから、即席仙台弁講座を開催して“もだら”(入浴時体を洗う際に使うやわらかいタワシのようなもの)“くづぎ”(蛇口)などの意味を教えていました。

 また、この日は津波被害、家屋倒壊で現在の仮設住宅暮らしを余儀なくされている方の中にご家族を亡くされた方もいらしたことから、作品集の中から、亡くなった子どものことを悼む作品『待ちどおしい夏』を朗読し、皆さんといたみやかなしみを分かちあう一面もありました。

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4月5日(木)

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 この日は、仙台市内最大規模の233戸が連なる仙台市太白区のあすと長町仮設住宅を訪問しました。あすと長町は現在大規模開発が行われている土地で、スポーツパークや大型のショップなどが新設されるなど、注目を集めている地域です。

 戸数が多いだけあって、この仮設住宅にお住まいの出身は市内沿岸部をはじめ、市外の各沿岸地域、また県外から身を寄せている方もいらっしゃいます。さまざまな地域に住んでいた方々に仙台弁の良さを伝えようと、裕子さんも張り切っていました。

 今日は集まった皆で輪になって、お話を進めます。80代のお母さんと息子さん、盲導犬を連れてきた方、このイベントに参加したくて今日はじめて仮設住宅の集会所を訪れた方など、さまざまな方が一緒になって、仙台弁の話を聞いたり、裕子さんのユニークな話で笑い合ったりしました。

 仙台弁語りが終わり名残惜しいお別れの時、裕子さんが「おみょうにち」という言葉を教えてくれました。おみょうにち(お明日)は、仙台弁で「また明日」という意味です。さようなら、と別れるではあまりにも寂しいから、また会いましょうねと約束してつながりを保つ。そんな仙台弁ならではのやさしさが大好きだと裕子さんは言いました。最後は集まった皆さんも裕子さんも全員で「おみょうにち」とご挨拶して、また会える日を楽しみに待つことにしました。

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5月30日(水)

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 仮設住宅の訪問5回目を迎えたこの日、裕子さんが向かったのは仙台市宮城野区の扇町1丁目公園仮設住宅。幹線道路が交差する仙台市内の流通拠点である地域の一角に、116世帯が暮らしています。

 この日の訪問のきっかけとなったのは、みらいん編集部に入った1本の電話でした。仮設住宅にお住まいの方の見守り活動を続ける支援団体「パーソナルサポートセンター」のスタッフが裕子さんの訪問活動の話を聞き、ぜひ扇町1丁目公園仮設住宅でも仙台弁語りの会を開いてほしい! とラブコールを送ってくれたのです。

 期待の声に応えてさっそく訪問した裕子さん。予定時間の前からすでにお住まいの皆さんが集まっていて、にぎやかに歓迎してくれました。そしてイスがセッティングされた会場に通されると、何と歓迎の横断幕が裕子さんを迎えてくれました!

 熱烈な歓迎ぶりに、裕子さんの仙台弁も舌好調! 川柳や手紙の朗読などに加えて、この日は裕子さん十八番のひとり芝居「いっぱい清水」も飛び出しました。

 会のおしまいにはお住まいの皆さんが準備してくれた「ありがとう」と記された垂れ幕が登場し、お住まいの皆さんが「感謝の歌」を披露してくれるなど、うれしいサプライズがいっぱいの訪問となりました。

 また、仙台弁語りの会がお開きとなると、名残惜しくその場に集まっていた皆さんとの交流第2部(お茶飲み)がスタート。集会所にプレゼントした裕子さんのウン年前(?)の仙台弁語りが収録されたCDを聞きながら、お住まいの皆さんとの交流を深めていました。

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6月13日(水)

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 裕子さんがこの日訪れたのは、仙台市若林区の荒井7号仮設住宅。市内では比較的小さな規模の仮設住宅ですが、お住まいの皆さんの交流がとても盛んで、定期的に集まってお茶飲み会を楽しんでいます。そして、この仮設住宅での仙台弁語りの会は2回目。約2ヵ月ぶりで会う皆さんは、元気にしているでしょうか?

 集会所におじゃますると、前回参加してくれた方々の懐かしいお顔が! 気候があたたかくなってきたからか、心なしか皆さんの表情が一層明るく感じられます。裕子さんは「お久しぶりですね」「元気そうになって!」と声をかけて、久しぶりの再会を喜び合いました。

 仙台弁語りに入る前の恒例のお茶飲みタイムには、ナスとキュウリの漬物、フキとタケノコの煮もの、味噌田楽など、今回もお手製のお茶請けがテーブルにずらり! 皆さんの近況を報告し合いながら、おいしいお茶請けにお箸もどんどん進みました。

 楽しいお茶会がひと段落したところで、裕子さんは、仮設住宅訪問では初めての取り組みを行いました。それは、ことばの貯金箱づくり、というものです。まずは古新聞の中から、今自分が気になることばをはさみで切り抜きます。そしてその切り抜きを、透明の空き瓶などに日頃からストックしておきます。一度読んだら捨てられてしまう古新聞の中から、自分にとって宝石のように大切なことばを見つけ出して集めていくこの空き瓶が「ことばの貯金箱」なのです。

 この日は初めての貯金箱づくりということで、まずは自分が気になることばの切り抜きから作業を始めます。そして切り抜いたことばを、自由に台紙に貼り付けていきました。さっきまでおしゃべりでにぎやかだった集会所は一転、切り抜きに没頭する熱心な作業所となりました。

 こうして出来上がったことばの作品たちを、最後に皆さんで披露し合いました。「私は楽天家だから」と見せてくれた方の台紙には、“前向きに”“気さくに”といったことばたちが。ほかにも、“恩返しの人生を”“これからがスタート”“寄り添い支える”など、皆さんが選んだ素敵なことばたちが、台紙の上できらきらと輝いていました。

 ことばの貯金箱づくりの楽しさを実感した参加者の皆さんたち。是非普段の生活でもことば集めを楽しんでみてくださいね!

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